いまの子どもは体温を調節する訓練をしていない

いまの子どもは体温を調節する訓練をしていないのです。

訓練といっても特別なことではありません。暑いときに汗をかく、それだけのことです。

ただし、ひとつ大事なことがあります。それは、人間の汗腺ができあがるのが三歳ごろまでなので、汗かきの習慣づけはそのころまでにしなければならないということです。

もう少し厳密にいうと、人間が自分で熱をつくる能力は生まれて二週間ほどできまります。

このときに乳児室や保育器、あるいは冷暖房完備の部屋などで過保護にされると、気温を感じる皮膚の受容器(センサー)が不完全になりやすいのです。

こうした大事な時期にちやんと汗をかかないと、汗腺が未発達のままで育ってしまいます。まともに汗のかけない、体温調節の下手な変温人間になってしまうのです。

これを自動車にたとえてみましょう。エンジンに冷却装置のないままで自動車を走らせたらどうなるでしょうか? たちまちエンジンは焼けてしまいますね。運転手はしかたないから、エンジンを切るしかないでしょう。